はじめに
栄養士として働いていて、
「なんとなくしんどい」
「仕事のことを考えるだけで憂鬱になる」
「頑張っているのに、誰も評価してくれていない気がする」
そんな感覚を抱いたことがある人は、きっと少なくありません。
保育園、病院、給食委託、老人ホーム、行政。
いくつかの現場を経験してきて、私はある共通点に気が付きました。
それは、栄養士が”板挟みになること”そのものが、壊れる原因ではないということです。
本当に危険なのは、
決定権がない立場で責任を背負い続け、
「どう立ち回るか」を考える余裕を失っていく状態だと感じています。
栄養士は「決める人」ではなく、「調整する人」
栄養士は専門職です。
栄養、食事、衛生管理に関して、知識も経験も求められます。
でも実際の現場では、
献立、対応方針、運用ルール…
これらの最終決定をするのは、別の立場の人であることがほとんどです。
それでも現場では、
- 説明する
- 納得してもらう
- クレームを受ける
- トラブルの窓口になる
こうした「前に立つ役割」を、栄養士が担当する場面がとても多いです。
つまり栄養士は、
決める権限は少ないのに、調整と責任を引き受ける立場になりやすい職種なのです。
うまく回っている時は評価されにくく、何か起きた時だけ責任が集まる。
この構造が、じわじわと心を削っていきます。
職場ごとに起きる「板挟み」の正体
板挟みの形は、職場によって少しづつ違います。
給食委託会社の場合
- 現場の人手不足
- 直営側からの要望
- 会社の方針や数字
実務と調整の両方を栄養士が抱え込みやすい。
病院・老人ホームの場合
- 医師の指示
- 看護師の現場判断
- 患者や家族の希望
どれも正論だからこそ、栄養士が「調整役」に固定されやすい。
保育園の場合
- 園の方針
- 保育士の考え
- 保護者からの希望・要望
「子供のため」という共通目標がある分、意見の違いがぶつかりやすい。
行政の場合
- 国や県の方針
- 窓口・クレーム対応
- 相手側の理解度
制度を”使える形に翻訳する役割”を担う場面が多い。
壊れやすい人の共通点は「板挟み」ではない
栄養士は、真面目で責任感の強い人が多いです。
- 誰かが困っていると放っておけない
- 現場が回らないのは自分のせいだと思い込んでしまう
- 波風を立てたくない
だから板挟みになっても声も上げずに、静かに自分をすり減らしていく。
私が一番危険だと感じたのは、次の状態です。
- 忙しさで考える余裕がなくなる
- 全部を自分で背負おうとする
- 相談や調整が後回しになる
板挟みになる事自体は、どんな仕事でも起こります。
問題なのは、
その状況の中で「自分がどう立ち回るか」を考えられなくなった時です。
向いている人・壊れていきやすい人の分かれ目
ここまで職場ごとの向き不向きを書いてきましたが、
今回は「栄養士という仕事そのもの」が向いているかどうかをの視点をリスト化しました。
栄養士の仕事に向いている人
- 自分の決定権の範囲を冷静に線引き出来る人
- 誰を味方にするか考えられる、味方が必要であることを知っている
- 一人で抱え込まない選択が出来る
全部自分でどうにかしようとしない。ある意味「割り切れる人」です。
壊れていきやすい思考パターン
- 真面目で責任感が強い
- 頼まれると断れない
- 感情的な対応を真正面から受け止めてしまう
ただでさえ栄養士は真面目な人が多いです。
だからこそ、頑張り屋さんほど危険だと感じてしまうのです。
栄養士が生き残るために必要なのは「味方」
25年以上栄養士として働いてきて感じるのは、
壊れにくい栄養士に共通しているのは、「一人で調整役をやらない」ということです。
- 委託会社なら → SVや直営側の栄養士
- 病院なら → 上司、医師、看護師のキーパーソン
- 保育園なら → 園長、信頼できる保育士
- 行政なら → 上司、同じ課の職員
「これは私一人では解決できません」
「一緒に考えて(行動)してください」
そう言える相手がいるかどうかで、心の消耗は大きく変わります。
まとめ
栄養士が壊れやすいのは、
能力が足りないからでも、根性がないからでもありません。
- 決定権がない立場で
- 責任だけを負い
- 考える余裕を失っていく
この構造の中で、働き続けているからです。
もし今、
「最近、考える余裕がない」
「全部自分のせいにしている気がする」そう感じているのなら、
それは限界が近いサインかもしれません。
まずは、一人で背負わない選択肢があることを思い出してほしいです↓
栄養士の仕事は、孤独に耐える仕事ではないのだから。


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