はじめに
保育園栄養士の仕事は、「大変そうだけど、あたたかくてやりがいがありそう」そんなイメージを持たれることが多い仕事です。
実際、子どもたちは本当にかわいい。給食を楽しみにしてくれたり、「おいしかったよ。ありがとう」と給食室に言いに来てくれることもあります。
それでも、「しんどいな」って感じてしまう瞬間は確かにありました。
その理由は、仕事量や責任の重さというよりも、人と空気、そして働く構造にありました。
仕事そのものが原因ではなかった
献立を考え、子どもたちの成長に合わせて給食を提供する。離乳食やアレルギー対応も簡単ではありませんが、工夫をすれば反応が返ってくる仕事です。
正直に言うと、業務内容そのものが嫌で辞めたいと思ったことは少ないです。
それなのに、気づかないうちに心が疲れていきました。
人間関係が「近すぎる」職場
保育園は給食室にいる職員の人数が少ない分、人との距離がとても近い職場です。
- 小さな違和感が残りやすい
- 空気を読む場面が多い
- 気を遣い続ける時間が長い
「合わない」と感じても、距離を取ることが出来ません。
この近さが、少しづつ消耗につながっていきます。
保育園のしんどさは「規模」で変わる
ひと口に保育園といっても、園の規模によって、しんどさの形は大きく違います。
大規模園の場合
定員の多い園では、汁物・離乳食・アレルギー対応など、
担当制がとられていることが多く、業務は分担されます。
その一方で、人間関係が固定化しやすく、合わない空気が長く続くこともあります。
小規模園の場合
小規模園では、献立・発注・調理・書類までほぼすべてを一人で担うことも珍しくありません。
休めば代わりはいない。
相談できる人も少ない。
この環境で強くなるのが、一人で回さなければいけないというプレッシャーです。
「子供がかわいい」だけでは続かない現実
保育園栄養士を目指す理由として、「子供が好き」「かわいいから」という声はとても多いです。その気持ちは、間違いではありません。実際、子どもたちは本当にかわいい。
ただ、働いてみて感じたのは、その”かわいい”を仕事の中で形にするのは難しいということでした。
- かわいい型抜き
- キャラクター風の盛り付け
こうしたことは、時間的にも、設備的にも、現実的ではありません。
盛り付けよりも優先されるもの
保育園の給食は、
- 限られた時間
- 限られた人手
- 限られた食器の種類
この中で、安全に、確実に提供することが最優先。食器の種類も少なく、見た目で大きく差をつけるのは難しいです。
子供が喜ぶような「特別感」を出せるのは、誕生日会や行事食のケーキなど、限られた場面だけです。
日常の給食は、地味で、淡々としていて、大きなリアクションが返ってこないことの方が多いです。
後ろめたさを感じてしまう瞬間
小規模園は特に、「一人で回せる献立」を選ばざるを得ない場面があります。
現実的には必要な判断でも、
「本当はもっと手をかけてあげたい」
「栄養士としてこれでいいのかな」
そんな後ろめたさが残ることもあります。
誰かに責められたわけではなく、自分で自分にプレッシャーをかけてしまう状態です。
向いていないのではなく、環境の問題
個のしんどさは、”能力不足”や”努力が足りない”からではありません。一人で背負うことを前提にした環境が、負荷の大きい働き方なだけです。
子供がかわいいと思える気持ちと、しんどいと感じる気持ちは、同時に存在していいものだと私は思います。
まとめ それでも保育園栄養士を選ぶ価値はある
ここまで大変な面をたくさん書いてきましたが、保育園栄養士という仕事を否定したいわけではありません。子供たちの成長を間近で見られること、「食」を通して関われることは、確かなやりがいです。
ただ、保育園栄養士のしんどさは、
- 人との距離の近さ
- 園の規模
- 一人で抱えこんでしまう構造
こうした環境から生まれることが多いです。憧れだけで選ぶとギャップが大きく、そのしんどさから「向いてないのかも」と感じやすくなります。
もし、「向いてないのかも」と感じたときは、自分を責める前に何が負担になっているのかを切り分けて考えてみてください。
こどもがかわいいだけでは続かないけれど、別の価値を見出せば、続けられる仕事でもあります。


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