有料老人ホーム栄養士のリアル |「楽そう」に見えて実は何でも屋さん

栄養士の仕事・リアル

はじめに

有料老人ホームの栄養士というと、
「病院より落ち着いていそう」
「体力的に楽そう」
そんなイメージを持たれることが多いかもしれません。

私自身も、「なんか楽そう」と働く前は思っていました。でも実際に働いてみると、想像とかなり違う現実がありました。

有料老人ホームでの私の主な仕事

私が働いていた有料老人ホームには、給食委託会社が入っていました。そのため、献立作成や調理は委託側が担当し、私の業務の中心は食数管理でした。

  • 入退去、外泊外出に合わせた食数調整
  • 食事形態の変更対応
  • 委託会社との連絡・確認

もちろん栄養管理はありますが、病院に勤務していた頃と比較すると、日常業務としてはそこまで多くはありません。ただ、施設という生活の場ならではの役割が、少しづつ増えていきました。

災害時は栄養士も「現場の一員」になる

印象に残っているのが、3年連続で台風による水害に遭ったことです。
道路状況が悪化し、介護職員が出勤できない日もありました。それでも、入居者さんの生活は止まりません。

浸水の影響でエレベーターが使えないため、食事は全部階段を使ってバケツリレー状態…
介護が手薄なうえに、台風の不安から徘徊する人が増え、時間があれば見守りに入っていました。
結果として、ほぼ2週間、休みなしで勤務する状況になった年もありました。

  • 代わりがいない
  • 誰かがやらないと回らない
  • 非常時ほど役割の線引きはなくなる

有料老人ホームでは、栄養士も「現場を支える一人」になる場面が多いと感じました。

栄養士だけど、何でも屋さんだった

退職や配置転換などで、介護職員の人数が不足している時には、見守り業務に入ることもありました。また、送迎要因として社用車を運転したり、家族が持ち込んだ食べ物を、入居者さんが食べやすい形に刻み直すこともありました。

正式に決められた業務ではなくても、「危ないから」「今できる人がやるしかないから」そういう理由で、自然と役割が広がっていきました。

振り返ると、有料老人ホームでの栄養士は、給食管理だけをする人ではなく、本当に何でも屋さんだったと思います。

看取りの場面で、栄養士に出来ること

有料老人ホームでは、看取りに関わることもありました。

だんだん食事が摂れなくなっていく利用者さんに対して、介護職やご家族と相談しながら、「今なら何が食べられそうか」を一緒に考えることもありました。
ご家族が持ち込んだものを調整したり、買い物援助で本人が好みそうなものを用意したり。

栄養価やルールよりも、『その人らしく食べること』を優先させる場面も多かったです。

有料老人ホームは「割り切り」が必要な職場

この経験を通して感じたのは、有料老人ホームは決して楽な職場ではないということです。

  • 業務範囲があいまい
  • 他職種だとしても人手不足の影響を受けやすい
  • 責任感が強い人ほど抱え込みやすい

一方で、
現場対応に抵抗がなく、生活そのものを支える仕事にやりがいを感じられる人にとっては、意味のある経験になる職場でもあると思います。

まとめ

有料老人ホーム栄養士は、「栄養士らしい仕事」だけをしたい人には向いていません。
でも、

  • 臨機応変に動ける
  • 人の暮らし全体に関わりたい
  • 誰かの最後の時間にも寄り添いたい

そう思う人にとっては、他では得られない経験が出来る場所でもあります。
「向いていない」のではなく、合う・合わないの問題

そうやって考えていい仕事だと思います。

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