「なんか、職場でひとりだな」と感じたことはありますか?
相談できる人が近くにいない。他のスタッフとは部屋が違うから、会話が少なくなりがち。研修に行っても、職場に戻ると結局ひとり。そんなふうに感じている栄養士は、決して少なくないと思います。
私もそのひとりでした。
でも今は、あの孤独な時間があったからこそ今の自分がある、そう思っています。孤独は乗り越えるものじゃなく、使いこなすもの。
今回は、そんな話をしたいと思います。
栄養士が孤独を感じやすい3つの理由

孤独を感じているとき、「自分がうまくやれないからだ」と思いがちです。でも、それは違います。
栄養士が孤独になりやすいのは、
この仕事の構造がそうなっているからです。
理由① 一人職場が当たり前の環境
病院・施設・学校・保育園、どんな職場でも、調理師や調理補助は複数いるけれど、栄養士や管理栄養士が複数いるところは多くありません。一施設に一人か二人というのが現実です。総合病院のような一食が1000食を超えるような施設になると、管理栄養士が数名、栄養士が数名に在籍していますが、そんな施設の求人が出ることはほとんどありません。
看護師さんや介護士さんなら、同じ職種の仲間がそばにいて、気軽に相談できる。でも栄養士には、そういう相手が職場にいないことがほとんどです。
理由② 給食室という物理的に閉じた空間
衛生管理の観点から、給食室は他のエリアとは区切られています。看護師や介護士など他職種のスタッフも給食室に入ることを躊躇することが多いです。
だから余計に自然と他のスタッフと交わる機会が少なくなる。廊下でたまたま会話が生まれる、休憩室で気軽に話す——そういう偶然のつながりが、給食室という環境では起きにくいのです。
理由③ 専門職として一人で判断する場面が多い
栄養士は、食事に関することを自分で考えて、自分で決めて、自分で動かすことが多い仕事です。
それは裏を返せば、それだけ専門家として信頼されているということでもあります。ただ、「これで合っているのかな」という不安を一人で抱えることにもなりやすい。
これらの理由からも分かるように栄養士が感じている孤独は、あなたのせいではなく、環境や仕事の構造がそうなっていることがほとんどです。それを知っているだけで、少し気持ちが楽になりませんか?
栄養士が孤独を乗り越えるためにできること

構造的な問題とわかっても、「じゃあどうしたらいいの」という話ですよね。私が実際にやってきたことをお伝えします。
対策① 職場の中で自分から動く
給食室にいるだけでは接点が生まれにくいなら、自分から出ていけばいい。
ちょっとした報告のついでに一言添える、廊下で会ったら積極的に声をかける。小さなことの積み重ねが、じわじわと関係をつくっていきます。私の場合は、クリスマス会などの施設全体行事は積極的にお手伝いに入る、そうやって接点を作ってきました。
誰かから声をかけてもらうことを待つより、自分から動いた方が早いです。
対策② 研修会で「横のつながり」をつくる
病院に勤めていたとき、上司にこんな言葉をもらいました。
「自分のスキルを上げて、
1円でも自分を高く売れるようにしなさい。」
この言葉が、今でもずっと頭に残っています。
気になる研修会には積極的に参加するようにしました。無料のものから、2日で3万円ほどかかるものまで。もちろん費用はすべて自費です。
自費で行く研修会に対して、「お金がもったいないな」とは思いませんでした。
自身がなかった当時の私は知識や経験を積み重ねるたびに、自分が鎧を身に付けていくような感覚があったからです。
それから、研修会に行くたびに気づいたことがあります。
行く先々で、見かける栄養士さんがいたのです。話しかけたことはありませんでしたが、同じ研修を受けてるっていうだけで、何となく「同志」だと感じていました。
同じように自分を磨こうとしている人がいる、それだけで孤独が少し和らぐ感覚がありました。職場の外に仲間をつくることは、栄養士の孤独対策として有効な方法のひとつです。
対策③ 自分に合った環境を知る
キャリアを考えるとき、スキルや資格ばかりに目が向きがちです。
でも同じくらい大切なのが、「自分はどういう環境で力を発揮できるか」を知ることだと思います。自分の性格と向き合い、自分に合った働き方を選ぶことは、長く健やかに働き続けるための大切な判断です。
栄養士の孤独には「自由」と「成長」がある
現在私が勤める小規模保育園は一人職場です。献立作成も発注も調理もすべて一人。もちろん大変ですが、でも今は、それをむしろ心地よく感じています。
一人職場だからこそ自分のペースで動ける
誰かを待たなくていい。誰かと調整しなくていい。自分の判断で、自分のペースで進められる。人間関係の消耗がない分、仕事そのものに集中できる時間が増えたと感じています。これは、やってみて初めてわかった一人職場の豊かさです。
一人で判断し続けることが、確実な成長につながる
私が孤独がつらいと感じた場面は
「解決できるかどうかの難問にぶち当たった時」でした。
誰かに聞けないから、自分で調べて考えるしかない。悩んで迷って答えを出すしかない。でも、いま思うと、その積み重ねが、確実に力になっていきました。
頼れる先輩がいる環境ではなかなか身につかない「自分で判断する力」が、一人職場では自然と磨かれていきます。
栄養士の孤独な環境は、じつは一番成長できる環境かもしれない。
一人でどうにかしてきた経験が、自分の根っこを太くしていくのだと思います。
まとめ:栄養士の孤独は、使いこなせる
栄養士が孤独を感じやすいのは、一人職場・給食室という環境・専門職としての立場、という構造的な理由があります。それは環境のせいであり、決してあなたのせいではありません。
その上で、出来ることはあります。自分から声をかける。研修会で横のつながりをつくる。スキルを磨いて自分に鎧をまとっていく。そして自分に合った環境を、じっくり選んでいく。
孤独の中に、自由がある。一人でどうにかしてきた時間が、あなたをちゃんと育てています。焦らなくていい。あなたのペースで、自分を守るであろう鎧を身にまとっていきましょう。
同じ道を歩いてきた先輩として、心から応援しています。

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